【専門医が解説◎ピロリ菌の原因(感染経路)とは?】
皆さんは「ピロリ菌」という細菌をご存知でしょうか。
ピロリ菌とは、正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」といい、このピロリ菌によって胃がんや胃潰瘍になりやすくなると言われています。
今回のブログでは、このピロリ菌について解説していきます。
<ピロリ菌にはどうやって感染するの?>
ピロリ菌の感染経路ははっきりと特定されていませんが、経口感染が有力な経路として考えられています。上下水道が整備されていない時代においては、生水を飲むことで感染したともされていますが、現代においてはそういった感染経路は考えられないため、現在考えられる経路は下記となります。
①家庭内感染
ピロリ菌に感染する時期は、免疫が確立する前の幼少期がほとんどであると考えられています。これは、幼少期は胃酸が弱く、ピロリ菌が胃の粘膜に定着しやすいためです。また、ピロリ菌を保有している両親からの口移しや、噛んで柔らかくしてあげてからご飯を食べさせるといった行為でも感染する可能性があります。また井戸水を使用している家庭で育った場合自らの感染も考えられます。そのため、まずは自分自身がピロリ菌を保有しているかどうかを検査した方が良いと言えるでしょう。
②医療現場における感染
感染対策が整備されている日本においてはあまり考えにくいですが、医療現場において口に使う器具に対し十分な滅菌・消毒フローを怠ったことで、ピロリ菌に感染したという例があります。このケースも同様に、口を介した感染です。
<ピロリ菌が引き起こす症状・症状>
ピロリ菌は、感染するだけでは特段症状は現れません。ピロリ菌に感染したことにより胃炎、胃潰瘍や胃がんを患い、症状が現れます。
ピロリ菌は、胃内に存在する「尿素」をアンモニアと二酸化炭素に分解します。アンモニアはアルカリ性であるため、酸性の胃酸を中和することができます。ピロリ菌は、こうして自身の周りの環境を中和することで存続しています。この中和を行う作用によって胃に傷害をもたらし、胃潰瘍や胃がんの発症リスクが上がります。
ピロリ菌によってよく見られるのは胃炎ですが、この胃炎を放置することによって「萎縮性胃炎」と呼ばれる状態になります。この状態になってしまうと、胃がんへの発展リスクが急上昇してしまいます。
<ピロリ菌の感染予防法>
ピロリ菌は感染対策を徹底することで感染を回避できます。特に、小さいお子さんがいる家庭においては感染対策を徹底しましょう。
*ピロリ菌の検査・除菌
家庭内におけるピロリ菌の感染は大人から子供という経路です。大人から大人というケースはほぼ考えられません。つまり、大人の感染が無ければ問題ないということになるため、まずは自身が感染しているかどうかをチェックしましょう。
感染していた場合には、まずは除菌治療を行うことが重要です。しっかりとピロリ菌の除菌が完了していることを確認できるまで、治療を継続しましょう。
<ピロリ除菌後の定期的な胃カメラの必要性について>
ピロリ菌感染が認められた場合、胃がんのハイリスクに該当します。
除菌できた後も1年に1回は胃カメラを受けるようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。今回のブログでは、ピロリ菌について解説をさせていただきました。ピロリ菌は、検査をしない限りは保有していることに気づけない細菌です。放置をすると胃潰瘍や胃がんの発症につながる恐れがあるため、少しでも心当たりがある方は、お気軽にご相談ください。