和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニック

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【専門医が解説◎ピロリ菌の除菌について】

【ピロリ菌除菌の重要性】


■ピロリ菌とは

ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃の中に生息する細菌であり、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、そして胃がんの主な原因の一つとされています。ピロリ菌は、酸性環境である胃の中でも生存できるという特異性を持っています。ピロリ菌の感染は日本を含む多くの国で広く見られ、特に高齢者層では感染率が高いことが知られています。



■ピロリ菌の特徴

ピロリ菌は、らせん状の形をした細菌で、胃の粘膜に付着して生息します。この細菌はウレアーゼという酵素を分泌し、胃酸を中和することで過酷な胃の環境でも生存することが可能です。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜が慢性的に炎症を起こし、長期間放置されることでさまざまな疾患を引き起こすリスクが高まります。特に、胃がんとの関連性が強く指摘されており、ピロリ菌感染者では非感染者に比べて胃がんの発生率が数倍から十数倍に増加することが研究によって明らかになっています。



■ピロリ菌感染の主な原因

ピロリ菌の感染経路としては、主に幼少期に家族内での接触を通じて感染するケースが多いとされています。具体的には、食べ物や水を介した経口感染、あるいは家庭内での食器や調理器具の共有が原因と考えられます。また、衛生状態が不十分な環境では感染リスクがさらに高まるとされています。日本では、過去の上下水道の整備が不十分だった時代に感染が広がった背景があり、高齢世代における感染率が特に高いことが特徴です。



■ピロリ菌が引き起こす病気

ピロリ菌感染は、胃や十二指腸に関連するさまざまな疾患の原因となります。最も一般的なものは慢性胃炎であり、これはピロリ菌が胃の粘膜を刺激し続けることによって発生します。慢性胃炎が長期間持続すると、胃粘膜が萎縮し、萎縮性胃炎へと進行します。この萎縮性胃炎は、胃がんの発生リスクを高める前がん状態とされています。

また、ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因ともなります。これらの疾患は、粘膜の防御機能が低下することで胃酸による損傷が進行し、潰瘍が形成されることによって発生します。さらに、ピロリ菌は胃がんだけでなく、まれに悪性リンパ腫であるMALTリンパ腫(粘膜関連リンパ組織リンパ腫)の原因にもなることが報告されています。



■ピロリ菌除菌の目的

ピロリ菌の除菌は、慢性胃炎・胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の予防および治療において非常に重要です。特に、胃がんのリスクを低減することが最大の目的となります。ピロリ菌の除菌治療を受けることで、胃がんの発生率を大幅に減少させることができることが多くの研究で証明されています。除菌治療は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発予防にも効果的であり、これらの疾患に関連する症状や合併症を軽減することが期待されます。



■ピロリ菌除菌の重要性

ピロリ菌除菌が特に重要とされるのは、胃がんの予防においてその効果が科学的に認められているからです。ピロリ菌が引き起こす慢性的な炎症が胃がんの発生に直結しているため、感染の早期発見と治療が重要となります。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者においても、再発を防ぐために除菌治療が推奨されます。



■ピロリ菌除菌治療の流れ

ピロリ菌の除菌治療は、通常、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗生物質を組み合わせた3剤併用療法で行われます。この治療は1週間継続され、ピロリ菌を効果的に除去します。ただし、抗生物質に対する耐性菌の増加により、治療の成功率が低下することが課題となっています。そのため、1次治療が失敗した場合には、異なる抗生物質を使用した2次治療が行われます。除菌治療の成功率を高めるためには、医師の指示に従い、処方された薬を正確に服用することが重要です。治療終了後には、ピロリ菌が完全に除去されたかを確認するための尿素呼気試験・便中抗原検査・胃カメラ検査などが実施されます。



■ピロリ菌除菌治療の副作用と注意点

ピロリ菌の除菌治療中には、副作用が生じることがあります。一般的な副作用としては、下痢や腹痛、味覚の変化、発疹などが挙げられます。ただし、これらの副作用は一時的なものであることが多く、治療を中断する必要があるほど重篤なものはまれです。治療中に何らかの異常を感じた場合には、速やかに医師に相談することが推奨されます。

また、抗生物質の服用中には、アルコールの摂取を控えることが推奨されます。アルコールは抗生物質の効果を減弱させる可能性があるため、治療期間中は注意が必要です。



■ピロリ菌除菌後の注意点とフォローアップ

ピロリ菌の除菌治療が成功した場合でも、その後のフォローアップが重要です。除菌後も萎縮性胃炎や腸上皮化生といった前がん状態が残っている場合があるため、定期的な胃内視鏡検査が必要となります。これにより、胃がんの早期発見が可能となり、さらなるリスク低減が期待されます。

また、除菌後の胃の状態を良好に保つためには、バランスの良い食事や適度な運動、ストレスの管理が重要です。胃粘膜を刺激する喫煙や過度な飲酒を控えることも推奨されます。



■ピロリ菌除菌治療の成功率と再感染のリスク

ピロリ菌除菌治療は、適切な抗生物質の選択と患者の治療への遵守度によって成功率が大きく異なります。1次治療での成功率は80〜90%程度とされていますが、耐性菌の影響により効果が得られない場合もあります。その際には、2次治療や場合によっては3次治療が必要となります。

また除菌治療が成功した場合でも、再感染のリスクがゼロになるわけではありません。特に、ピロリ菌感染が多い地域では、家族内や不衛生な環境から再び感染する可能性があります。そのため、衛生的な生活習慣を徹底することが再感染予防の鍵となります。



■日本におけるピロリ菌感染と保険適用

日本では、2013年よりピロリ菌感染に対する除菌治療が胃炎患者にも保険適用されるようになりました。2次治療までは保険適応となっております。

保険適用により、多くの人が手軽に除菌治療を受けられるようになり、胃がん予防への取り組みが加速しています。一方で、除菌治療を受けた後も胃がんのリスクが完全にゼロになるわけではないため、胃内視鏡検査の継続が推奨されます。



■ピロリ菌感染予防の重要性

ピロリ菌除菌治療に加えて、ピロリ菌感染そのものを予防することも重要です。特に小児期の感染を防ぐために、家庭内での衛生管理が求められます。感染を防ぐためには、食事の際に食器を共有しない、清潔な飲み水を確保する、手洗いを徹底するなどの日常的な予防策が効果的です。また、家族にピロリ菌感染者がいる場合には、他の家族も感染している可能性があるため、一緒に検査を受けることが望ましいです。



■ピロリ菌に関するご相談

ピロリ菌を除菌することで、胃の健康を守り、胃がんをはじめとするさまざまな疾患を予防することができます。早期のピロリ菌感染発見と適切な治療を受けることで、将来の発症リスクを大幅に軽減することも可能です。ピロリ菌感染が疑われる場合や、不安がある場合には、速やかに消化器内科医に相談し、適切な検査と治療を受けることをおすすめしています。ピロリ菌除菌に関して些細なご不安がございましたら、和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニックまでご相談ください。

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