便潜血検査陽性となる原因
便潜血検査陽性とは、便に微量の血液が混じっていることを示しています。この検査が陽性となる原因は多岐にわたり、消化器系のさまざまな疾患が考えられます。主な原因として、大腸がんや大腸ポリープが挙げられます。これらは、消化管の内壁から出血しやすく、便に血液が混じることがあります。
また、他にも消化性潰瘍（胃潰瘍や十二指腸潰瘍）や炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎やクローン病）も便潜血検査陽性の原因となることがあります。これらの疾患では、腸の内壁が炎症や潰瘍により損傷し、出血することがあるためです。
さらに、痔や肛門裂傷などの肛門周辺の病変も陽性反応の一因です。痔核や裂肛からの出血が便に混じることがあります。量が多かったり、トイレットペーパーが真っ赤になってしまうことで非常に焦りを生じる原因となるケースも多いです。
さらに考えられる原因として消化管の感染症や寄生虫症、さらにはアスピリンや非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）の長期使用も腸内出血を引き起こし、陽性反応を示すことがあります。
上記のように、便潜血検査陽性が出る原因は、痔などの命にまではかかわらない病気から、大腸がんといった重篤な病気の可能性まで幅広く存在するため、便潜血検査で陽性が出た場合はすぐに専門医の診察を受けるべきなのです。では、そんな便潜血検査を受けることのメリットについて解説します。
便潜血検査のメリットとデメリット
メリット
体への負担が少なく、怖くない
この検査は非侵襲的（侵襲性：メスなどで皮膚を破ったり、何らかの医療機器を体内に挿入したりすること）であり、簡便かつ手軽に実施できるため、患者への負担が少ない点が挙げられます。早期の大腸がんや大腸ポリープを発見するためのスクリーニング検査として有効であり、早期発見・早期治療につながる可能性が高まります。また、定期的な検査により、消化器系の健康状態を継続的にモニタリングすることができます。
デメリット
精度に多少の不安がある
便潜血検査は感度や特異度が完全ではなく、偽陽性や偽陰性が生じる可能性があります。偽陽性の場合、実際には病変がないにもかかわらず陽性と判断され、不必要な追加検査や患者の不安を引き起こすことがあります。また、偽陰性の場合、実際には病変が存在するにもかかわらず見逃されるリスクがあります。さらに、便潜血検査は出血の有無を検出するのみであり、出血の原因を特定することはできません。陽性結果が出た場合には、精密検査（例えば、内視鏡検査）が必要となります。
非常に簡単に行える検査であり、この検査のおかげで多くの病気が見つかっていることも事実ですが、精度が非常に高いとは言えないのもまた事実です。それでは、便潜血検査は意味がないでしょうか？
便潜血検査は意味がない？
前述したように、便潜血検査には意味がないと感じるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。確かに、この検査には限界がありますが、それでもなお重要なスクリーニングツールとしての価値は高いです。便潜血検査は、大腸がんの早期発見において有用であり、多くの研究がその有効性を裏付けています。例えば、定期的な便潜血検査により、大腸がんの死亡率が低下することが示されています。
また繰り返しにはなりますが、この検査は簡単で非侵襲的であり、多くの人が受けやすいという利点があります。特に、リスクの高い年齢層（例えば、50歳以上）においては、定期的な検査を受けることが重要です。最初からすぐに内視鏡検査を行っていれば、相当な負担となるでしょう。便潜血検査はそれを防ぐためにもとても重要な検査です。
重要なことは、便潜血検査の結果に一喜一憂するのではなく、結果に応じた適切なフォローアップが重要です。陽性の場合には、内視鏡検査などの精密検査を行い、発生している原因を突き止めることが、結果的には命を守ることにも繋がります。陰性であっても不安がある方は、一度検診にて内視鏡検査を受けていただくことをおススメいたします。
当院の大腸カメラ検査の特徴
当院では、消化器診療・内視鏡検査に特化した医療機関として、患者様に安心と安全を高い品質で提供ができるように様々な取り組みを行っております。便潜血検査にて陽性と診断された方や、内視鏡検査を受けることを検討されている方は、下記より詳細をご確認下さい。
