検査前日のお食事
大腸カメラ検査では腸に残渣があると見落としを起こす可能性がありますので、事前に腸管をきれいにしておく必要があります。大腸は約2メートルもある長い消化管であり、消化管の最後にありますのできれいにするためには事前の食事制限や下剤服用が欠かせません。
前日の食事で口にしてしまうと下剤を服用しても残ってしまう可能性の高い食品を食べないようにする必要がありますが、かなり多くの食品が含まれていますので、ご自分で用意する場合はかなりの注意が必要になってしまいます。
当院では、腸に残りにくい食品のみで作った検査食(朝昼夕3食1セット)を前日の食事として食べていただくことを推奨しています。温めるだけで手軽に食べることができる検査食を当院で用意しておりますので是非ご利用ください。
検査前日の食事は21時までにすませてください。検査食ではなくご自分で用意される場合には、イチゴやキウイなどの果物やジャム、ゴマなどの細かい種、繊維・種・皮の残る野菜、コンニャク・海藻・キノコ、ソバ、枝豆、ラーメン、油ものなどを避け、薬味や具なしの素うどん、おかずなしの白かゆなど、ゼリーや具のないスープなど、消化しやすく腸に残りにくいものを食べるようにしてください。
当院での前処置
大腸カメラ検査は腸管がきれいになっていないとせっかく受けても見落としを起こす可能性が出てきてしまいます。また、便が残っているとスコープを大腸の最奥まで進ませることができないこともあります。事前診療で受けた説明通りに前処置を行うことが、正確な検査には不可欠です。当院では、前日に服用する下剤と、当日朝に服用する腸管洗浄剤(下剤)を用いることで腸管をきれいにして正確な検査結果を得られるようにしています。
下剤の種類を選べる
当院では複数の腸管洗浄剤(下剤)をご用意しています。下記の表を参考に、ご自分に合ったものを選択してください。
なお、はじめて下剤を服用することに不安がある方や、以前受けた大腸カメラ検査の前処置で腸管洗浄剤を飲み切れなかった方は事前診療の際にご相談ください。
モビプレップ | マグコロールP | サルプレップ | |
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包装や容器 | |||
特徴 | 洗浄力が比較的強い・味が良い・午前検査対応可能 | 多くの方が飲みやすく感じる・量が比較的少ない | 洗浄力が強い・多くの方が飲みやすく感じる・午前検査対応可能 |
服用量 | 1.5~2リットル | 1.8リットル | 約1.0リットル |
水分(水・お茶) | 約1リットル | 0 | 2リットル |
水分総摂取量 | 約3リットル | 1.8リットル | 1.5~3.0リットル |
味 | 梅味 | スポーツドリンク味 | レモン味 |
前日の食事 | 普通食(※) | 検査食(¥1,320) | 普通食(※) |
平均準備時間 | 3時間~ | 4時間~ | 検査時間により異なる |
副作用 | 嘔気、嘔吐、腹痛、頭痛、発疹、血圧低下、徐脈、など | 嘔気、嘔吐、腹痛、熱感、電解質異常、など | 嘔気、嘔吐、冷感、めまい、発疹、血圧低下、徐脈、など |
透析患者 | 慎重投与 | 不可 | 不可 |
服用禁忌 | 腸閉塞の疑いがある時 | 腸閉塞の疑いがある時 | 腸閉塞の疑いがある時 |
- ※野菜などの繊維質、キノコ、海藻類、コンニャク、ゴマや種、果物・ジャムなどを控えた食事。可能であれば検査食の方がお勧めです。
前処置の進め方
1.就寝前に下剤を服用します。
翌日、腸管洗浄剤を服用する前に、便の塊が腸管に残っていると蓋のようになってお腹の張りや吐き気などを起こす可能性があります。それを避けるために前日の就寝前に下剤を服用し、ある程度排便して当日の腸管洗浄をスムーズに行えるようにしています。
少量の水にお渡しした前日服用の下剤を混ぜて服用すると苦味を抑えることができます。なお、服用後、場合によって腹痛や夜中に便意を起こすことがあります。
なお、普段、便秘になりやすい方の場合、下剤の十分な効果を得られない可能性があります。その場合は事前診療でご相談いただき、常用している便秘薬や排便習慣などについて伺った上で事前の便秘治療を行うこともあります。
※なお、前日の夜は早めに就寝してください。
2.当日は朝から禁食です。
前夜の下剤服用後に、排便が1度あったことを確認してから腸管洗浄剤の服用を開始します。一般的に使われることが多いモビプレップの場合は、モビプレップ2杯と水1杯を1セットとしてそれを繰り返す飲み方が高い効果を得られます。モビプレップは大腸粘膜で吸収されることなく便と共に排出されますので、厳しい食事制限や浣腸などをせずに比較的楽に高い洗浄効果を得られるケースが多くなっています。ただし、無理をして短時間に服用してしまうと十分な効果を得られなくなってしまいますのでペースを守り、2時間程度かけて飲み切ることが重要です。特に重要なのは、最初のセットと2回目のセットは時間をしっかりかけて飲むようにすることです。
便意は、3セットあたりで生じはじめます。便意が生じてきたらその都度排便し、服用を続けます。ストレッチなど、身体を動かすことで排便が促されます。排便を繰り返しますので、強く擦るように拭いてしまうと肛門の皮膚が荒れてしまいます。シャワートイレを利用する、そっと抑えるように拭く、保湿剤入りの流せるおしり拭きを利用するなどで肛門の皮膚を保護しましょう。
便は、最初に固形物が出て、残渣、黄色っぽい水様便となり、最後には透明な水のような便が出ます。ただし、透明な水のようになってからも身体を動かすガスや残渣が出てきますので、腸管洗浄剤がまだ残っている際にはできる限り飲み切るようにしてください。透明な水のようになったら検査が可能ですが、最低でも半分は飲まないと検査は不可能です。
なお、腸管洗浄剤を服用しても便が出ない、お腹が張る、吐き気・嘔吐・めまい・腹痛などの症状がある場合には、無理に服用を続けずに電話で当院までご連絡ください。慢性的な便秘の方や腹部の手術を受けたことがあって癒着が疑われる場合には、早めにご来院いただいて浣腸などの前処置が必要になるケースもあります。
普段、薬を服用されている場合は、事前診療時に当日の服薬や休薬、そして服薬の際の内服タイミングについて丁寧にお伝えしていますので、それを守って服薬・休薬してください。特に、血圧や糖尿病、心臓病、血液抗凝固薬を服用されている場合には事前診療時のご相談がとても重要になってきます。また、血液抗凝固薬については、数日前からの休薬が必要になることもあります。事前診療時には、普段投与されている薬が全てわかるお薬手帳や薬そのものをお持ちください。